実際にテナント物件を見ていくと、条件の良さそうな物件ほど賃料が高く、「やはり賃料が高い物件の方が安心なのでは?」と感じる方は少なくありません。
駅前、築浅、きれいな外観。確かに魅力的に見えます。
しかし、実際の現場を見てきた立場から言えるのは、「賃料が高い=いい物件」では決してないということです。
むしろ、賃料の考え方を間違えると、開業後に大きな負担を抱えてしまうケースもあります。
■賃料は毎月必ずかかる「固定費」
まず知っておきたいのが、賃料は売上に関係なく毎月必ず発生する固定費だという点で。す。
どれだけ売上が良い月でも、逆に思うように売上が立たない月でも、賃料は同じ金額を支払わなければなりません。
開業直後は、想定通りにお客様が来ないことも珍しくありません。その中で賃料が高すぎると、「賃料を払うために無理をする経営」になってしまい、精神的にも資金的にも余裕を失ってしまいます。
■高い賃料には「過去の事情」が含まれている
賃料が高い物件には、それなりの理由があります。
立地が良い、前のテナントが繁盛していた、ブランド力のある会社が入っていた、などです。ただし重要なのは、その実績は過去のテナントのものだということです。
これから入居する方が、同じ集客力や売上を再現できるとは限りません。
前のテナントが長年営業していた人気店だった場合、その信用や固定客は引き継げません。にもかかわらず、賃料だけがその実績を反映したままだと、入居後の負担は大きくなります。
立地が良くても、業種に合わないことがある
「人通りが多い=良い立地」と思われがちですが、すべての業種に当てはまるわけではありません。
例えば、
・完全予約制の事務所
・来店頻度が低い専門サービス
・車利用が前提の業種
こうした業種では、駅前の一等地である必要がないケースも多くあります。
それでも立地だけで物件を選んでしまうと、賃料に対して効果が見合わないという結果になりがちです。
■賃料が高い物件は初期費用も高くなりやすい
賃料が高い物件は、保証金や敷金も高額になる傾向があります。
さらに、原状回復費用や共益費など、見落としがちなコストも重なりやすくなります。
開業時は内装工事や設備投資、広告費など、他にも多くの出費があります。
物件にお金をかけすぎると、本来必要な部分に資金を回せなくなってしまいます。
■本当に「いい物件」とは何か
では、本当にいい物件とはどんな物件でしょうか。
それは、
・無理なく賃料を払い続けられる
・売上が安定するまで耐えられる
・事業内容と立地が合っている
この条件を満たしている物件です。
多少立地が劣っていても、賃料を抑えられれば、広告やサービス向上にお金を使えます。
結果として、長く安定した経営につながるケースは少なくありません。
■まとめ
賃料は「高い・安い」ではなく、自分の事業規模や計画に合っているかどうかが最も重要です。
見た目や立地の良さだけで判断せず、
「この賃料を払いながら、無理のない経営ができるか」
という視点で物件を選ぶことが、テナント探しで失敗しない最大のポイントです。
テナント選びは、事業のスタートを左右する大切な判断です。
賃料に振り回されず、自分に合った物件を冷静に選びましょう。


