開業資金の準備

飲食店、美容室、物販店、オフィスなど、どんな業種であっても「開業資金の準備」は、テナント探しよりも前に考えておくべき最重要ポイントです。
資金計画が曖昧なまま物件だけ先に探し始めると、

・気に入った物件が見つかったのに契約できない

・融資の審査に時間がかかり、他の人に先に入られてしまう

・内装工事費が想定より高く、開業後の運転資金が足りなくなる

といったよくあるトラブルにつながります。

本コラムでは、これから開業を目指す方に向けて、物件探しと密接に関わる「開業資金の準備」について、やさしく・具体的に解説します。

■開業資金は大きく「初期費用」と「運転資金」に分かれる

まず押さえておきたいのは、開業資金は以下の2つに大別できるということです。

①初期費用=開業するまでに必要なお金

たとえば、

・物件の保証金(敷金・保証金)

・礼金、仲介手数料

・前払いの賃料

・物件取得に伴う保険、保証会社料

・内装工事費(スケルトンの場合は特に大きい)

・厨房機器や什器備品の購入費

・OA機器の購入費

・看板、外装費

など、契約〜オープンまでに必要なお金です。

②運転資金=オープン後、利益が安定するまでのお金

開業初月からいきなり黒字になるケースは多くありません。
そのため、

・数ヶ月分の賃料

・仕入れ費用

・人件費

・光熱費

・広告宣伝費

など、最低でも3〜6ヶ月分の運転資金を確保しておくのが現実的です。

■業種によって必要な資金は大きく違う

同じ「開業」でも業種によって必要金額はまったく異なります。

たとえば、

・飲食店(スケルトン)
  →500〜1,000万円以上
  内装・厨房の設備投資が大きいため、最も初期費用がかかる業種です。

・物販店、サロン(居抜き)
  →100〜300万円
  居抜き物件を活用すれば、初期費用は大幅に抑えられます。

・オフィス
  →50〜150万円
  内装がほぼ不要で、保証金と家具程度で済むケースも多いです。

つまり、どの物件を選ぶかによって必要資金も変わるため、
開業資金と物件探しは同時並行ではなく、

①まず資金計画
②その予算で実現可能な物件を探す

この順番が失敗しない鉄則です。

■融資を考えているなら「物件を決める前」の相談が重要

多くの方が「物件を見つけてから金融機関に相談」と考えがちですが、実は逆です。

公庫の創業融資では、
事業計画 → 資金計画 → 融資相談 → 物件申込 → 公庫へ申込 → 物件契約 → 公庫の審査 → 融資実行
という流れが最もスムーズに進みます。

公庫では民間銀行と異なり「仮審査」がなく、

最初の申込がそのまま正式審査(本審査)として扱われるため、

提出書類の準備や事業計画の精度がとても重要です。

また、公庫の審査には通常1〜2ヶ月ほどかかるため、

融資額が確定する前に物件契約へ進むのはリスクが高い点にも注意が必要です。

そのため、事前相談で審査のポイントを確認し、

融資が通りやすい計画の方向性を固めてから物件選びを進めることが大切です。

金融機関は、

・自己資金

・過去の収入

・過去の経歴

・業態の現実性

・事業計画の精度

・必要資金の根拠

を総合的に見ています。
物件が決まっていなくても「予定しているエリアや広さ」さえ分かれば、相談は可能です。

■居抜き物件や補助金を活用すると負担を大幅に軽減できる

開業資金を抑えたい方にとって重要なのが、

・居抜き物件の活用

・自治体や国の補助金制度

です。

<居抜き物件は初期費用が劇的に安い>

厨房・空調・トイレ・間仕切りなどがそのまま使えるため、
数百万円単位で初期費用が変わることも珍しくありません。

「資金は少ないが、なるべく早く開業したい」
という方に最適です。

<補助金の活用>

小規模事業者持続化補助金など、開業時に利用できる制度も多くあります。

ただし、補助金は「後払い」「審査あり」なので、
最初に必要な資金がゼロになるわけではない点だけ注意が必要です。

■開業資金は余裕を持たせるのが鉄則

開業資金をギリギリで組んでしまうと、
予想外の費用や売上のブレに耐えられず、早期の資金難につながります。

特に飲食・美容は、

・内装追加工事の発生

・開業直後の集客に時間がかかる

・売上が安定するまでの期間が読みにくい

など、不確実性が高い業種。

想定より20〜30%多めに資金を確保しておく
これは多くの成功者が共通して口にするアドバイスです。

■不動産会社には資金計画が固まった段階で相談するのが最短ルート

テナント探しをスムーズに進めたいなら、資金計画がある程度固まってから動く
→ベストなテナントを最速で押さえられる

これが現実的で、かつ最も成功率が高い進め方です。

逆に、資金計画が曖昧な状態だと、

・「予算オーバー」で物件が契約できない

・「融資の審査待ち」で他の人に物件を取られる

・内装費が足りず開業が遅れる

などの遠回りが起きやすくなります。

■開業資金の準備は、テナント探しを成功させるスタート地点

開業資金は「物件契約のためのお金」だけではなく、
開業して軌道に乗るまでの安心して経営を続けられるためのお金でもあります。

ポイントを振り返ると、

・開業資金は「初期費用」と「運転資金」に分けて考える

・業種によって必要額は大きく違う

・融資相談は物件探しより前が正解

・居抜き物件、補助金で負担を軽減できる

・資金は余裕を持って計画する

・資金計画が固まったら不動産会社へ相談すると最短で進む

テナントメイクでも日常的に開業相談をお受けしておりますので、物件探しとあわせて、開業全体の計画についてもご相談ください。