物件探しをしていると、「ここを借りたら、防火管理者の選任が必要です」と不動産会社から説明を受けることがあります。
「防火管理者?自分がなるの?」「どんな義務があるの?」と、不安に感じる方も多いかもしれません。
今回は、テナントを借りて事業を始めるにあたり、知っておきたい「防火管理者」について、分かりやすくご説明します。
■防火管理者とは?
防火管理者とは、建物内で火災が起きないように、日頃の防火対策や避難体制を整える責任者のことです。
建物の所有者(オーナー)ではなく、実際にその建物の一部を使って事業を行うテナント側に対して、防火管理者の選任が義務付けられているケースがあります。
■どういう物件で必要になる?
実はすべてのテナントで防火管理者が必要というわけではありません。
以下のような「ある程度の規模」がある物件で義務が発生します。
【防火管理者が必要な基準(主な例)】
・建物全体の収容人数が50人以上
・飲食店や物販店舗など、不特定多数の人が出入りする建物全体の収容人数が30人以上
■防火管理者は何をするの?
「責任者」と聞くと少し重たく感じますが、実際には以下のようなことを行います。
<主な業務内容>
・建物内の避難経路や消火器の設置状況のチェック
・火の取り扱いに関する注意喚起(特に飲食店など)
・定期的な消防訓練・避難訓練の実施
・消防計画の作成・提出
・消防署への届出(選任届の提出など)
つまり、日々の営業の中で「火災を起こさない」「万が一に備える」という基本的な意識を持ち、防災面での責任を担う立場になります。
■誰がなれる? 資格や講習は必要?
防火管理者になるには、「所定の講習を受けること」が必要です。
これは、消防署が委託する機関(例:日本防火・防災協会など)が定期的に開催しており、1日~2日間の座学が基本です。
<主なポイント>
・年齢や職種は不問(経営者自身でも、従業員でもOK)
・原則1名以上の選任が必要
・講習修了後に「防火管理者講習修了証」が発行される
■もし選任しなかったらどうなる?
防火管理者の選任は、消防法に基づく「法令上の義務」です。
違反すると、以下のようなペナルティの対象となる可能性があります。
・消防署からの是正勧告
・立入検査の強化
・違反状態が続いた場合、罰金や過料(最大50万円)
・重大な場合は営業停止処分の可能性も
つまり、「知らなかった」では済まされない事となります。
■テナントを契約する前に確認したいこと
物件を契約する前には、以下のような点を不動産会社に確認しておくと安心です。
「防火管理者の選任義務があるか?」
「物件全体で選任されているのか?それともテナント単体で必要か?」
防火管理者の義務がある物件は、裏を返せば「ある程度の規模感があり、きちんと防災管理が求められる物件」であるとも言えます。
安心して事業を運営するための大切な要素と捉えておくとよいでしょう。
■まとめ
事業用物件を借りて開業・移転する際、防火管理者の選任は義務であると同時に、「自分やスタッフ、そしてお客様の安全を守るための取り組み」でもあります。
義務だから仕方なく、という受け身ではなく、
「防火管理者の制度をきちんと理解すること」は、事業者としての信頼にもつながります。
物件選びや契約前の段階で、必要な防火体制についてもしっかり把握し、安全・安心のスタートを切りましょう。


