新しく店舗やオフィスを借りて開業する際、内装や賃料に目が行きがちですが、忘れてはいけないのが「電気・ガス・水道」といったインフラの設備です。
これらのインフラが整っていない、あるいは契約者自身が整備しなければならないケースもあり、開業準備に思わぬ時間や費用がかかることも。
今回は、初めてテナント物件を借りる方でも分かりやすいように電気・ガス・水道の引き込みや契約に関する注意点を解説します。
■「引き込み」とは?
「引き込み」とは、電気・ガス・水道などのインフラを、建物や区画に実際に供給するための配線・配管を接続することを指します。
物件によっては、建物の共有部分までは来ていても、室内には配線や配管が通っていないこともあります。
■電気のチェックポイント
<契約容量(アンペア)に注意>
飲食店や美容室などでは、大型機器や照明を多数使うため、一般的な家庭用の電力契約(30~50A)では足りないことがあります。
業種に応じて三相200V電源(業務用)や高容量契約が必要になる場合もあるため、契約前に確認しましょう。
<電気の引き込みがない場合の負担は?>
古い物件やスケルトン状態のテナントでは、電気の引き込み工事が必要なケースもあります。
この場合、借主側の負担になることが多く、10万円~数十万円の工事費用がかかることも。契約前にオーナー側が整備するのか、自分でやる必要があるのかを明確にしておくことが重要です。
■ガスのチェックポイント
<ガスの種類(都市ガス or プロパン)を確認>
都市部では都市ガスが多いですが、郊外やビルによってはプロパンガス(LPガス)を採用していることもあります。
調理機器や給湯器が都市ガス専用の場合、LPガスでは使えないため、変更が必要です。
<ガスの引き込み・開栓にも日数がかかる>
ガス会社への連絡から開通までは、申込後1週間以上かかることもあります。内装工事や設備機器の設置と並行して、早めにスケジュールを立てておきましょう。
<ガス管がない場合の注意点>
中には「ガス未導入」の物件も存在します。ガスを使いたい場合、道路からの引き込み工事が必要になることもありますが、その場合は数十万円以上の費用や、行政手続き・許可申請が必要です。
■水道のチェックポイント
<水道の口径(管の太さ)に注意>
飲食店や美容室では、大量の水を使用するため、13mm(一般家庭用)では足りず、20mm以上の水道管が必要となるケースがあります。
水圧が弱い、同時使用で出が悪いといった不便を防ぐためにも、水道の口径と給水量を事前に確認しましょう。
<排水設備も見落とさずに>
水を出すだけでなく、「流す」ことも重要です。油を使う飲食店ではグリーストラップ(油脂分離槽)の設置が義務付けられている自治体もあります。
古い物件では排水の位置や勾配に問題があり、大掛かりな工事が必要になることも。専門業者に確認を依頼するのが安心です。
■契約前に「誰がやるか」を明確に
ライフラインの整備でトラブルになりやすいのが、「引き込み工事は誰が負担するのか」「工事にどれくらいかかるのか」という点です。
原則として、室内の設備は借主負担、建物全体の設備や外部工事はオーナー負担とされることが多いですが、契約内容によって異なります。
<契約前に下記をチェックしましょう>
・現在の電気・ガス・水道の「引き込み状況」
・必要な容量に対応しているか(電気アンペア、水道口径など)
・ガスの種類(都市ガスor LPガス)
・引き込み工事が必要な場合の費用負担者
・いつから使用可能か(工事期間の見込み)
■まとめ
テナント探しで見落とされがちな「電気・ガス・水道」ですが、開業後の営業に直結する重要な要素です。
「内装工事は終わったのにガスが通らない」「水道の水圧が弱くて困っている」などのトラブルは、事前の確認と準備で防ぐことができます。
物件選びの際は、表面的な条件だけでなく、こうしたインフラ設備の状況と対応策もぜひチェックしておきましょう。
不安な場合は、経験豊富な不動産会社に相談することで、見落としを減らすことができます。


